江戸城三十六見附をめぐる– 外堀と内堀沿いに点在する、江戸城の門跡をめぐる –

平川門

東京の中心部に、青々とした広大な緑地がある。 1603年(慶長3年)に徳川家康が江戸幕府を開き、以降1867年(慶応3年)に大政奉還されるまで、約260年にわたり江戸幕府の中枢が置かれた江戸城跡地である。 もちろん現在の「皇居」である。

東京には「赤坂見附」とか「四谷見附」といった地名があり、昔から「見附って何だ?」と思っていたが、調べると「見張り番を置いた江戸城の城門」とあった。 それも36ヶ所もあったという。

皇居の周りには「大手門」や「桜田門」に代表される門がいくつか残っている。

しかし名前は知っているが、場所を知らない門も多い。 もちろん名も知らぬ門もある。

そこで江戸城三十六見附とその近辺の史跡を、歴史を勉強しながら歩いてみることにした。

江戸城三十六見附マップ

江戸幕府が置かれた江戸城は寛永13年(1636年)、3代将軍家光の時代に完成したといわれ、内堀と外堀を有し、多くの城門に囲まれた巨大な城郭都市であった。

この江戸城に入るには堀に架かる橋を渡る必要があり、その橋に渡櫓を持つ門と番所を置き、人の出入りを監視していた。

この番所が「見附」で、実際には90近くあったという説もあるが、主な橋を数えて36見附と呼んでいるようだ。

下図は人文社刊行の「江戸切絵図で歩く」から借用させてもらった江戸城見附図である。 現在は埋め立てられた外堀部分も水色で示されている。 また隅田川に架かる3本の橋は、江戸城完成当時にはまだなかった。

江戸城36見附

今回は上図の右上にある浅草橋門を起点として、反時計回りに渦を巻くように外堀沿いから内堀沿いをめぐり、最後に江戸城内の天守閣跡を目指すことにする。

江戸城三十六見附一覧

No見附名称コースコース上の見どころ
1浅草橋門浅草橋門跡
2筋違橋門浅草橋~万世橋郡代屋敷跡、柳森神社、看板建築、万世橋
3小石川門万世橋~水道橋万世橋、昌平坂、湯島聖堂、甲武鉄道鉄橋
4牛込門水道橋~飯田橋外堀土塁石積み、小石川後楽園、牛込門跡
5市ヶ谷門飯田橋~市ヶ谷甲武鉄道牛込駅、土塁、市ヶ谷門石垣石
6四谷門市ヶ谷~四谷四ツ谷駅前の石垣、四谷見附橋、真田堀
7喰違門四谷~紀伊国坂迎賓館、紀州徳川家門、真田掘と弁慶堀
8赤坂門紀尾井町~赤坂見附紀尾井大名屋敷跡、清水谷公園、弁慶堀
9虎ノ門赤坂見附~虎ノ門日枝神社、外堀石垣跡、金刀比羅宮
10幸橋門虎ノ門~新橋旧河岸通り、新幸橋石柱
11山下門新橋~西銀座怪しげな路地とアーケード
12数寄屋橋門西銀座~数寄屋橋数寄屋橋跡碑、南町奉行所跡碑
13鍜治橋門数寄屋橋~鍛冶橋煉瓦造り高架とメダリオン、太田道灌の像
14呉服橋門鍛冶橋~呉服橋発掘された外堀石垣、北町奉行所跡
15常盤橋門呉服橋~常盤橋まよひ子のしるべ、日銀本館
16神田橋門常盤橋~神田橋竜閑橋欄干、鎌倉河岸
17一ツ橋門神田橋~一ツ橋一ツ橋門石垣の一部、一ツ橋徳川家屋敷跡
18雉子橋門一ツ橋~雉子橋高速道路下に続く石垣
19竹橋門雉子橋~竹橋竹橋門跡の石碑
20清水門竹橋~清水門雁木坂
21田安門清水門~田安門九段会館、日本武道館
22半蔵門田安門~半蔵門千鳥ヶ淵、鉢巻石垣
23外桜田門半蔵門~桜田門三宅坂、井伊家上屋敷跡、桜田門外の変
24日比谷門桜田門~日比谷門日比谷公園、心字池
25馬場先門日比谷門~馬場先門楠木正成の像
26和田倉門馬場先門~和田倉門和田倉橋、噴水公園、巽櫓
27西の丸大手門和田倉門~西の丸大手門皇居正門、正面石橋
28西の丸玄関門正面鉄橋、二重橋、伏見櫓
29坂下門西の丸大手門~坂下門坂下門外の変、宮内庁通用門
30内桜田門(桔梗門)坂下門~内桜田門太田道灌、皇居一般参観
31大手門内桜田門~大手門巽櫓、大名の登城口、渡櫓の鯱
32大手三の門(下乗門)大手門~大手三の門同心番所
33大手中之門大手三の門~中之門百人番所、大番所
34中雀門中之門~中雀門大火の傷跡が残る石垣、書院二重櫓跡
江戸城本丸富士見櫓、松の廊下跡、天守台
35北詰橋門江戸城本丸~北詰橋門高い石垣、跳ね橋
36平川門北詰橋~竹橋~平川門平川橋、帯曲輪門、不浄門、下梅林門
番外芝口御門
浜大手門
幸橋門~浜離宮新橋親柱、芝口門跡、浜離宮