東博 「運慶 祈りの空間 ー 興福寺北円堂」 圧倒される迫力を楽しむ

上野の東京国立博物館(東博)で開催されている、特別展「運慶 祈りの空間 – 興福寺北円堂」に行ってきた。

仏師・運慶晩年の最高傑作といわれ、通常は非公開の「弥勒如来坐像 (国宝)」の御降臨である。

また普段は中金堂に安置されているという四天王像は、もともと北円堂に安置されていた可能性が高いということで、今回はこの四天王像も含めた7躯の国宝仏を一堂に展示である。

これはもう 万難を排して馳せ参じなければいけない。

目次

いざ 東博へ!

今まで暑かったので避けてきたが、一転して気温も下がった雨降る中を東博に向かう。

東博

特別展は本館・特別室で開催。

東博
運慶展

特別展「運慶 祈りの空間 – 興福寺北円堂」

写真撮影は全面的に禁止なので、この記事内の写真は配布されたパンフレットを利用している。

会場に一歩踏み入れると、北円堂を再現した空間の中央に、運慶晩年の最高傑作といわれる弥勒如来坐像が鎮座ましましている。

この弥勒如来坐像は、昨年2024年に約9ヶ月にわたる修理を終えたばかりのホヤホヤで、傷んでいた部分が美しさを取り戻している。

弥勒菩薩

弥勒如来の背後には、これまたリアルな無著菩薩立像と世親菩薩立像が静かに控える。 この2人の僧はインドの兄弟だそうだ。

そして周りを囲んで四方を固める四天王立像(広目天、増長天、持国天、多聞天)。

迫力ある造形と怒りの表情は、弥勒如来や無著・世親像の「静」と対比して、激しい「動」を現しているようだ。

運慶作品
運慶作品

なお 弥勒如来坐像の光背は展示されておらず、そのおかげで 弥勒如来の背中まで見ることができた。

常設展も見て回る

特別展は混んでいそうなので、最初に訪れたのは東洋館。 東博に行けば必ず立ち寄る所である。

ここから下の写真は、撮影OKな展示物なのでスマホで撮ってきたものである。

ガンダーラ仏

日本の仏像も好きだが、ペルシャやインドなど様々な美術様式を取り入れたガンダーラの仏像も美しい。

日本や中国の仏像に比べ、目や鼻、髪型などが西洋人の風貌を持っている。

ガンダーラ仏

如来坐像(パキスタン、ガンダーラ クシャン朝 2~3世紀)

金剛力士立像(仁王)

本館の日本の仏像展示室は今年4月にリニューアルされ、金剛力士立像2体が出迎えてくれる。

筋骨逞しい仁王様で力強さはあるが、裸なので筋トレ好きの怒れる兄ちゃんのようだ。

それに対し、運慶展にある四天王像は甲冑をつけているせいか、兵士としての強さを感じる。

金剛力士 唖形

金剛力士像(唖形)

残念ながら、私の好きな菩薩立像は展示されていなかった。

朝鮮青磁と初期伊万里

東洋館では「てくてくコリア」という名で、朝鮮王朝を中心とした美術品が特集展示されていた。

残念ながら秋草文様の白磁や象嵌が施された高麗青磁の出展はなかったが、青磁の文瓶が出展されていた。

朝鮮青磁

青磁蓮唐草文瓶(韓国・高麗時代 12世紀)

本館の日本の陶磁器コーナーには、初期伊万里が出品されていた。 欲しい・・・

古伊万里

染付吹墨亭兎図皿(江戸時代 17世紀)

天皇専用の乗り物

「天皇専用の乗り物」なるものが展示されていた。 要するに輿である。

鳳輦(ほうれん)

天皇が行幸の際に用いられる乗り物で、皇位を象徴する鳳凰が屋根に立っている。

天皇の乗り物

明治天皇はこれに乗って京都から東京に来たそうだが、駕輿丁(かよちょう)という担ぎ手が担いで移動したという。

しかし東博の説明(1089ブログ)によると、乗り心地は悪く、明治天皇は板輿(いたごし)という小型の乗物で移動し、最終日に芝増上寺で鳳凰に乗り換えて江戸城に向かったそうだ。

御腰輿(オヨヨ)

腰輿と書いて”ようよ”と読むそうで、御腰輿と記して「オヨヨ」とも呼ばれていたそうだ。

宮廷内での移動とか、火事で避難する際に用いられる乗り物だという。

実際に火事が起きた時、オヨヨを待っていたら焼け死んでしまうだろう。 火事の時ぐらい、自分の足で逃げろといいたい。

天皇の乗り物

この御腰輿(オヨヨ)も実際に孝明天皇が使ったそうだ。 ちなみに孝明天皇とは、平民の言葉でいうと皇女和宮の兄貴であり、明治天皇の親父である。

毒殺されたという説もあり、その犯人は岩倉具視・・・ 興味ある方はネットを検索!

運慶は何回見ても素晴らしい!

運慶の仏像に関しては、興福寺ではもちろん、過去に東博で展示された時にも見に行った。

また半蔵門ミュージアムの大日如来坐像や、伊豆の願成就院、横須賀美術館で開催された「鎌倉幕府と三浦一族」展などにも見にいった。

運慶仏は阿修羅像とか渡岩寺の十一面観音像と同様に、何回見ても飽きることはない。

これからも公開されれば、きっとお会いしに行くことになるだろう。


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