日本橋から歩いて京都を目指す中山道の旅。 ついに最終ゴールの京都三条大橋に到着した。
到着後大阪に移動し、昔の会社仲間が集まって「上洛祝い」と銘打って飲み会が行われた。
その翌日は帰京するだけだったので、奈良国立博物館で開催されている「正倉院展」を見に行く絶好の機会だったが、残念ながら満員で予約は取れず。
では仏像館でも見に行くか・・・ と、奈良に移動して仏像三昧のショートトリップを楽しんだ。
旅行日:2025年10月31日(金)
興福寺 久し振りに阿修羅像に会いに行く
正倉院展を諦め、最初に興福寺を訪れる。
実は先週水曜(2025年10月22日)に、上野の東博で開催されている「運慶展」を見にいったばかりである。

一部の仏像は東博に出品中とはいえ、阿修羅像に代表される多くの国宝が収蔵されている国宝館を素通りすることはできない。
修理中の国宝 五重塔
猿沢池越しに望む興福寺の五重塔は、奈良を代表する景観の一つである。
しかし現在は120年振りの大規模改修が行われ、すっぽりと素屋根で覆われている。 工事完了は2031年(令和13)のようだ。

中金堂 四天王像は東博に出張中
2016年に訪れた時は復元工事中だったが、2018年に創建当時の様式で復元された。
釈迦如来を中心に仏像が安置されているが、四天王像は東博で開催中の「運慶展」に出張中。

東金堂 国宝だらけの仏像群
現在の建物は1415年(応永22)に再建されたもので、堂内には薬師如来を中心に、国宝の四天王像や十二神将立像などが、迫力ある姿で所狭しと並んでいる。

南円堂と北円堂
現在東博で開催されている「運慶展」では、この北円堂に安置されている弥勒如来と無著・世親菩薩像が公開されている。
したがって現在の北円堂(右)の中は空っぽなのだろう。


国宝館 阿修羅と五部浄
興福寺に来たら国宝館は絶対に外せない。
有名な「阿修羅」像と、もう一つ好きな「五部浄」を心ゆくまで眺めることができる。 どちらも八部衆の一員である。
【阿修羅像】
だいぶ以前になるが、東博に来た時に見にいったが、その時は人の頭を見にいったと思えるほどの大混雑。
前回 2016年に興福寺を訪れた時、国宝館での阿修羅像の前は人もまばら。 好きなだけ眺めていたことを思い出したが、もちろん今回も像の前を行ったり来たり。

写真提供:興福寺
【五部浄】
象の冠りものかぶり、遠くを見つめる少年象。 上半身のみ残り、ガラスケースに収められているので、目の前で見ることができる。
阿修羅像に負けず劣らず素晴らしい !!

「仏像の世界へようこそ」より借用
その他「金剛力士像」や「千手観音像」など、圧倒的な迫力をもっている。 何度見ても見飽きることはない・・・
奈良国立博物館 仏像館
東大寺正倉院展が開催中で、一度見たいと思っていた「瑠璃坏」が出展されている。 しかし予約が取れず断念。 代わりに仏像館を訪れると、70歳以上は無料で入館することができた。
金剛力士像
阿形と吽形の対をなす仏像だが、興福寺宝物館にある金剛力士像と比べると少し違う。
「違いは何か?」を考えると、興福寺の金剛力士像は逞しさに加え、「鋭さ」があるように思える。


法華寺・十一面観音立像
保存修理の完成記念で公開されていた。 写真不可なのでパンフレットからの写真である。
少し腰をひねったような立ち姿は、東博にある観音菩薩立像に似て美しい。
法華寺には2体の十一面観音があり、もう一体の本尊と2体並べてみてみたい。

中国西安の十一面観音菩薩立像
中国唐の時代に西安の寺院に伝来した石仏で、右手に「滅罪」と刻まれた印章を持つという。
腰が細く、やはり美しいプロポーションを持っている。

東大寺 大仏殿
雨が降ってきたが、まだ少し時間があったので東大寺にも立ち寄ってみた。

多くの観光客は大仏殿正面に立つ灯篭を素通りして大仏殿に直行しているが、この灯篭は「金堂八角灯籠」という名の国宝である。
創建当時のもので、現在に至るまで1200年近く同じ場所に立つという。
恐らく聖武天皇に拝謁し、平家の南都焼討や松永弾正の戦いにも負けずに立ち続けている。

久し振りにお会いした大仏様。
Wikipediaによると、創建当時の大仏殿と大仏様の建造費は、現在の価格で4657億だそうだ。 人件費や資材高騰している今では、更に高額になっているのだろう。

大仏殿を出ると、雨は本降りとなっていた。
仏像めぐりはこれで終わりにし、観光客の多い表通りを避けて近鉄奈良駅に向かう。

久し振りの奈良の半日観光。
正倉院展を見ることはできなかったが、上野の東博で開催中の「運慶展」を前週訪れ、その続きとして興福寺国宝館と奈良博の大仏館で仏像を楽しみ、目に良い保養となった。
日本橋から中山道を歩いて旅してきたが、今回が最終回。 おまけの奈良の旅であった。

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