芦田宿を出ると、すぐに笠取峠の登りとなる。 国道142号のダラダラした道を登るが、峠を越えて長久保宿への下りは、「中山道原道」と呼ばれる山道である。
車の舗装路はヘアピンカーブを繰り返しながら峠を下っていくが、「中山道原道」は往時の道筋であり、舗装路をショートカットしながら松尾神社を目指して下っていく。
この「中山道原道」は 獣道のような踏み跡を辿る、楽しいコースであった。
旅行日:2017年5月19日
- 日 付 : 2017年5月19日
- 街道地図 : 芦田宿 ~ 和田宿
- 宿間距離 : 芦田宿 ~ 長久保宿 1里 16町(5.7Km)
: 長久保宿 ~ 和田宿 2里 0町 (7.9Km)
日本橋から: 累 計 49里 7町(193.2Km) - 万歩計 : 21,941歩
(注)宿間距離は「宿村大概帳」(江戸末期)を参考としたもので、現在の道路距離と異なる。
笠取峠松並木
芦田宿の京方出口を出ると、すぐに笠取峠の登りとなる。
旅人がここを通る時、松並木のお陰で『三度笠』など要らずに歩けた。 または上り坂で暑くて笠をとってしまうという、まったく逆の名の由来があるようだ。
芦田宿出口からの笠取峠入口。

松並木の途中に「従是東小諸領」と彫られた、小諸藩領界を示す石柱が復元されている。

この松並木は小諸藩が江戸幕府から拝領した赤松753本を植えたもので、昔の旅人になった気分で歩くことができる。

ダラダラ坂の国道を進む
松並木を抜けると街道風景は一変し、1Km以上にわたるダラダラ坂の国道142号を黙々と歩く。
「峠」は、碓氷峠や和田峠のような峠路らしい山越えの道を歩きたいものである。
国道沿いに笠取峠一里塚の碑が立つ。 日本橋から47番目で、北塚のみ残る。

峠の頂上を越えて進むと、擁壁に笠取峠の立場の様子を描いたタイル絵がある。

中山道原道を進む
更に国道を進むと、やがて旧国道が右に分岐するが、この現国道と旧国道の分岐点から「中山道原道」に入る。
この「中山道原道」は廃道となった旧中山道を復元したもので、山中の踏み跡を進む楽しい道であった。
現国道と旧国道の分岐の間の草むらに入り、雑木林の中の踏み跡を辿る。


いったん旧国道に出て、つづら折れする旧国道を少し歩く。
カーブ左手に石仏を見ながら進むと、すぐ先のガードレール切れ目から中山道原道に再度入る。


再び旧国道に出るが、天気も良く最高な気分で歩く。

やがて国道142号に合流するが、すぐに右の脇道(旧国道?)に入る。

林の中を左右にくねる道を進み、左手が開けた所から左斜面を下る細い道がある。 これも中山道原道である。
この原道に入ると、民家の庭先をかすめるようにヘアピンの道をショートカットしていく。

民家の庭先から道路に出ると、またガードレールの切れ目に原道が続いている。 松尾神社に下る、最後の中山道原道である。


松尾神社
最後の中山道原道を下ると、松尾神社の境内に降り立つ。
松尾神社は京都の酒造神松尾神社を勧請したといわれ、お酒の神様だそうだ。

松尾橋を渡り、鳥居を抜けると長久保宿の江戸方入口である。

中山道原道 ルートマップ
中山道原道は、勾配を緩くするためにつづら折れする旧国道を、直線的にショートカットしながら長久保宿に下る道である。
道路脇のガードレールの切れ目から入る箇所がいくつかあり、見逃す可能性があるので事前に良く調べておく必要がある。
下の図は、「東信州中山道を歩く」というパンフレットに出ていた原道のルートである。 現在通行不可の部分も、今後道が切り開かれるかもしれない。

笠取峠越えは途中に国道歩きがあるが、前半の松並木、後半の中山道原道と、楽しく歩ける区間であった。 特に中山道原道は、道を探しながら歩くような感じで面白い。
松尾神社を過ぎ、戦国武将・真田幸村の子孫が暮らす長久保宿へと入っていく。

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