中山道 第15宿 安中宿 お奉行様の家と長屋暮らしの下級武士

今回は板鼻宿と安中宿の中間あたりから歩き始め、松井田宿までを歩く日帰り旅である。

江戸時代の安中藩安中城の城下町であった安中宿は、本陣1、脇本陣2、旅籠17と小さな宿場で、あまり発展することも無く幕末を迎えている。

この安中藩では藩士の心身鍛錬のため、安中城から碓氷峠を駆け上り、着順を競わせる安政遠足(とおあし)ということを行っていたそうだ。 今でいうトレイルランのようなものだろう。

旅行日:2015年10月3日

コースデータ
  • 日 付  :2015年10月3日
  • 街道地図 :安中宿~松井田宿
  • 宿間距離 :板鼻宿~安中宿  0里30町(3.3Km)
         :安中宿~松井田宿 2里16町(9.6Km)
  • 日本橋から:累計 32里0町(125.7Km)
  • 万歩計  :22,195歩

(注)宿間距離は天保14年(1843)「中山道宿村大概帳」を参考とし、現在の道路距離とは異なる。

目次

邦亜鉛精錬所の眺め

高崎から信越本線に乗り換え安中駅で下車。 ホームから東邦亜鉛精錬所を眺める。

新幹線や上信越道を使うようになり、しばらく目にしていなかったが、昔と変わっていなかった。 しかし これはあまり喜ぶことではないだろう。

東邦亜鉛精錬初

安中宿へ

JR安中駅から碓氷川沿いの旧中山道に移動。 道は細くて石仏なども残り、旧街道の面影を残している。

碓氷川河畔

安中バイパスの久芳橋で碓氷川を越えると、安中宿入り口は近い。 「下の木戸口跡」の案内があり、江戸方の出入口である。

安中宿

熊野神社と安中城址

安中城を築く際、鬼門除けとして熊野三山を勧請したのが始まりと伝えられ、拝殿には精緻な彫刻が施されている。

熊野神社

熊野神社のすぐ先に「安中城東門跡」と「東門番所」の案内板が立つ。

熊野神社の山門は、この東門が移築されたものだそうだが、城門とは思えない質素なものであった。

安中城東門跡

大名小路 お奉行様の家と長屋の武家屋敷

街道から右に入り「大名小路」と呼ばれる道を歩く。 安中藩士の住居が並んでいたそうだが、復元された武家長屋や郡奉行役宅跡など、見どころは多い。

旧碓氷郡役所

碓氷郡役所は本陣に置かれていたが、明治21年に現在の地に移されたが火災で焼失。 明治44年に再建する際、用材確保のため安中の杉並木を10本伐採したそうだ。

旧碓氷郡役所

日本キリスト教団安中協会

同志社大学の創立者である新島襄から洗礼を受けた、30名の信者が設立した教会である。

安中協会

安中教会から郡奉行役宅や武家長屋に向かう。

大名小路
大名小路

郡奉行役宅

安中藩の郡奉行の家が復元されている。 ようするにお奉行様のお屋敷で、年貢の割り当てや徴収、各種通達、領内の治安等、民政を司っていたそうだ。

安中藩郡奉行役宅
安中藩郡奉行役宅

武家長屋

復元された武家屋敷。 武家屋敷といっても4軒長屋で、安中藩士の中でも、比較的家禄の低い武士が住んでいた。

武家長屋

武士といえども生活は苦しかったようで、前庭は菜園などが作られていたそうである。

武家長屋

安中宿の街道風景

大名小路から街道に戻り、安中宿の街道風景を眺めながら先に進む。 比較的古い家が残り、街道らしい雰囲気を持っている。

安中宿

立派な家だと思ったら質屋さんのようだ。 暖簾の掛かる昔ながらの質屋さんとイメージが違う。

安中宿

屋根上に「清水商会」、軒下に「サカウエ薬局」の看板が下がる。

安中宿

「便覧舎址碑」が立つ。 民間の私設図書館跡で、和漢・洋書3000冊の蔵書があったが、明治20年に焼失したそうだ。

便覧舎址

有田屋。 天保3年(1882)創業の醤油造りの老舗で、蔵が何棟も立つ。

安中宿出口

街道風景を楽しみながら歩くと、やがて安中宿の京方出口である。

普通の民家だが、玄関の屋根が立派である。 屋根だけ見ると、妓楼建築の名残のように見える。

安中宿

龍昌寺 煩悩の数だけの鐘がぶら下がる

龍昌寺本堂への参道には、多くの鐘が吊るされている。 鐘の数は108個、つまり煩悩の数である。

小槌で108の鐘を叩いて煩悩を打ち消すそうだが、私は叩かなかったので、いまだ煩悩の塊である。

龍正寺和合の鐘

安中大木戸跡

 安中宿の京方出入口跡の碑が立つ。 江戸方の出入口に比べ立派である。

安中宿大木戸跡

安中といえば、昔から駅前の精錬所しか知らなかった。 しかし中山道や大名小路を歩くと、こじんまりとした、静かな城下町の雰囲気を持っていることを知った。

高崎までは殆ど町中を歩いたが、やっと街道らしい雰囲気が現れ、なおかつ妙義山なども近づいてきた。

「これから先が楽しみだ!」と期待に胸を膨らませ、次の松井田宿へと足を進める。


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