気象庁によると、関東甲信越地方は6月7日に梅雨入りしたそうだ。 しかし天気予報を見ると、どうも週末は天気が良さそうである。 そこで急遽和田峠を越えようと思い立った。
前回和田宿まで歩いているので、今回は和田宿から峠の入口まで歩き、翌日に峠を越えて下諏訪宿までの1泊2日の歩き旅である。
さっそく宿に電話すると、幸いにも部屋は空いているとのこと。 万一の雨に備えて山用の雨具を持ち、「天気が持ちますように・・・」と祈りながらの出発である。
旅行日:2017年6月9日~6月10日
上田からバスを乗り継いで和田宿へ
北陸新幹線の上田駅に降り立つ。
和田峠方面へは、この上田駅から”JRバス関東”を利用して入るが、あまりバスの便は良くない。 途中の長久保宿で乗り換え、前回引き返した和田宿まで1時間半近くを要した。
上田駅では、真田信繁(幸村)が出迎えてくれた。

和田宿までのアプローチは長く、「やっと着いた!」という感じでバスを降り立ち、時計はすでに10時30分を回っていた。
立派なうだつを上げた和田宿の「よろずや」 入口にはレトロな看板が下がる。


和田宿を出発
和田宿までのアクセスに時間を要したため、当日中に和田峠を越えて下諏訪宿まで行くには時間が足りない。
そのため この日は和田峠の入口まで歩くだけなので、気楽にのんびり歩き始める。
和田宿 高札場跡
「高札場では旅人は笠等の被り物をとるのが習わし」と説明されていた。 私は暑いので、帽子を被ったまま説明を読んでいた・・・

鍛冶足集落と鍛冶足一里塚
和田宿を抜け鍛冶足の集落に入る。 街道は右の緩やかに上る道を進む。

街道沿いの土蔵のような建物の土台上に、双体道祖神が祀られている。

鍛冶足交差点の角に鍛冶足一里塚跡の碑と、「左松澤歩道・右諏訪街道」と刻まれた道標が立つ。 日本橋から50里目で、国道142号の拡幅で取り壊されたのか遺構は何も残されていない。
鍛冶足交差点を右に曲がり、大出バス停方向の左の細い道に入る。

藁葺屋根の大出バス停から鍛冶足方向を振り返る。 バス停の向かいの分岐を右の小路に入り、依田川沿いに旧道を進むと、やがて国道142号に合流する。

国道142号と古中山道
国道142号に合流すると歩道がない部分もあり、肩をかすめるように車が行き交う。 しかし周りの山々の綺麗な緑が慰めてくれる。
「お食事処 杉の屋」前の双体道祖神。

周囲の山々の新緑が綺麗で、歩道のある部分では気分よく歩くことができる。

周りに白い花を咲かせたニセアカシアと思われる木が増え、ハルゼミが盛大に鳴いていた。

唐沢集落入口の手前で、左に古中山道が分岐している。 この古道を進むと、やがて唐沢一里塚へと至る。 江戸末期の中山道は、現在の唐沢集落のほうに付け替えられ、唐沢集落には茶屋本陣が置かれた。
唐沢集落には寄らずに、草むした古中山道に進んでみる。


森の中を進む古中山道。 ここを歩いていた時、前方をリスが横切って行った。

日本橋から51里目の唐沢一里塚の両塚が、ほぼ原形をとどめて残っている。
中山道の一部区間が唐沢集落方向へ付け替えられたため、この唐沢一里塚は山中に取り残されたという。 説明版によると、天保2年(1831)の絵図面では既に路線から外れているそうだ。


和田峠登り口へ
唐沢一里塚を過ぎると、国道142号の擁壁に付けられた階段を下り、再び国道歩きとなる。
やがて男女倉口バス停の先で右に分岐する美ヶ原方面への道に入ると、和田峠への登り口に到着である。
登り口には「歴史の道 中山道」の標柱が立ち、ここから未舗装の山道へと入っていく。

まだ昼過ぎと早いが、この日はここで終了。 逃げるはずもない山に向かって、「待ってろよ 和田峠!」と、明日の再訪を告げる。
バスを乗り継ぎ長久保宿に戻る
和田峠登り口から、国道142号にある男女倉口バス停に戻る。

男女倉口バス停。 人など歩いていない山中のバス停で、一人ポツンとバスを待つ。

和田宿でコミュニティバスに乗り換え、この日の宿である長久保宿の浜田屋旅館に向かう。
長久保宿 浜田屋旅館
和田宿からバスで長久保宿まで戻る。 宿に入るには早いので、長久保宿を再度見て回る。
しかし途中から雲行きが怪しくなり、ポツポツと雨が降り出したので、この日の宿である浜田屋旅館にお世話になる。 その後 雨は雷と共に夕立のようになった。
浜田屋旅館は長久保宿のど真ん中。
梅雨に入ったせいか、この日の宿泊客は私一人。 先週までは中山道歩きの人が多かったそうだ。

通された部屋は、まさに純和風というか、古風な宿の良い雰囲気。 隣室との仕切りは襖だが、誰もいないので気兼ね不要であった。

部屋に飾られた立派な書。 落款を見ると「博文」とあり、落款印は「伊藤博文」とあるようだ。 本物だろうか?

風呂で汗を流した後の夕食。 写真の他に出された、旬の山菜や野菜の天ぷらが美味かった。

長久保宿や和田宿、男女倉方面のバスは、長和町巡回バスが走っている。 小型のバスであるが、料金は100円であった。
男女倉口から和田、和田から長久保まで利用したが、いずれも乗客は私一人。 長和町が補助を出しているのだろうが、観光客も100円とは有難いやら申し訳ないのやら・・・
明日はいよいよ和田峠越えである。 天気が良いことを祈りつつ布団にもぐりこんだ。

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