由比宿は江戸日本橋から数えて16番目の宿場町。 西に薩埵峠(さったとうげ)を控えるが、静岡県内で最も小さな規模の宿場である。 鎌倉時代には「湯居」と書いていたようだ。
今の由比といえば、宿場よりも名産の桜えびだろう。 富士川河口の河川敷が、桜えびの天日干しでピンクに染まったニュースを見たことがある。 調べると漁期の只中なようなので、これは期待できる。
旅行日:2025年12月4日 ~ 12月6日

由比 薩埵峠
【コースデータ】
| 日付 | 区 間 | 宿間距離 | 日本橋から | |
| 12月4日 | 蒲原 | 由比 | 1里(3.9Km) | 38里21町45間(151.6Km) |
| 由比 | 興津 | 2里12町(9.2Km) | 40里33町45間(160.8Km) | |
| 興津 | 江尻 | 1里2町(4.1Km) | 41里35町45間(164.9Km) | |
| 12月5日 | 江尻 | 府中 | 2里25町(10.6Km) | 44里24町45間(175.5Km) |
| 12月6日 | * 街道歩きは休み。 久能山東照宮へ寄り道して帰宅。 | |||
(注)宿間距離は「宿村大概帳」(江戸末期)を参考としたもので、現在の道路距離と異なる。
蒲原駅 「 ひぇ~! カメラが壊れた !!! 」
4月に三島宿から蒲原宿まで歩き、約7ヵ月ぶりに東海道線の蒲原駅に戻ってきた。
準備を整え、いざ出発! と駅の写真を撮ろうと思ったら、「ん? ピントが合わんな・・・」 何度やってもオートフォーカスが働かない。 電源入れなおしても変化なし。 設定見直しても問題なし・・・
「ひぇ~! ぶっ壊れた!!」「スマホで撮るっきゃない・・・」 ということで。
JR蒲原駅。 駅前は広いが何もない、ちょっと殺風景な駅である。

由比宿へ
蒲原宿と由比宿間は1里(3.9Km)と短い。 さらに蒲原駅からスタートなので、「蒲原宿まで1.7Km、由比宿まで1.3Km」と、駅前の案内標識は由比宿のほうが近いことを示している。
東名高速の下を潜り、街道は神沢交差点で県道396号を離れて左へと進む。 やがて小さな酒玉を吊るした神沢川酒造場。 清酒の銘柄は「正雪」。

由比一里塚跡
日本橋から39里の由比一里塚跡。 祠と電柱に挟まれてひっそりと立つ。

由比宿
由比宿は蒲原・興津とともに、街道沿いの漁村として発達した。 本陣1軒、脇本陣1軒、旅籠32軒で、東西5町半(約600m)の町並みは、東海道の宿駅としては規模が小さかった。
由比宿 東桝形跡
由比宿江戸方出入口の東桝形の面影が残る。

(桝形跡を京方から振り返って撮る)
重厚感というか迫力ある旧家。

御七里役所跡
御七里役所とは一般の飛脚とは別の、紀州徳川家専用の飛脚継立所である。 江戸から和歌山の間、七里(約28Km)毎に23ヶ所設けられた。 道中8日を要したが、特急便は4日足らずだったそうだ。

由比宿本陣跡
由比宿の本陣は、桶狭間の戦いで討死した今川家家臣の子孫が務めたそうで、現在は本陣公園として整備されている。

表門や馬の水呑み場・物見櫓などが復元され、東海道広重美術館も併設されている。

塀の前には用水路のような「馬の水呑み場」が復元され、亀がたくさん日向ぼっこしていた。

正雪紺屋
400年続くと伝わる染物屋。 3代将軍家光没後に幕府転覆を図った、由比正雪の生家と云われる。

正雪紺屋の隣には、脇本陣であった饂飩屋(うんどんや)跡。 また江戸時代だけでなく、明治の郵便局舎や、昭和初期に建てられた由比缶詰所の寄宿舎も残る。
旧庚子(かのえね)銀行本店。 大正15年に竣工し、現在も清水銀行由比本町支店として現役活躍中。

「白木屋半兵衛」 街道沿いに立つ由比宿案内板にある「江戸後期 由比宿宿割地屋号」を見ると、当時から「白木屋」の屋号がある。

由比宿 西桝形跡
由比宿案内板の立つところで、左に分岐する道が旧東海道で、由比宿京方出入口の西桝形跡である。 旧道に入るとすぐに由比川に行く手を阻まれる。
由比宿案内板を見て、そのまま旧道に入るのを忘れて直進してしまい、由比川に架かる由比川橋を渡って由比宿を終える。

由比桜えび通り
由比橋を渡って由比宿を抜けるが、由比名物の桜えびはこれからである。 街道は「由比桜えび通り」と名付けられ、桜えびをアピールする旗が目立ち始める。
由比橋から50mほど進むと、川方向に戻るように旧東海道が分岐している。 旧道に入って江戸方向に進むと、やはり由比川に行く手を遮られるが、川向うに旧道が由比宿の西桝形跡まで続いている。

左が由比橋からの新道。 右が由比川に向かう旧東海道。
せがい造りと下り懸魚
街道を進むと「由比桜えび通り」と名付けられた商店街に入り、風格のある家が増えてくる。
「せがい造り」という建物で、軒先を長く出した出桁造りで、由比宿に多く見られるという。

屋根の端には雲の形をした「下り懸魚(くだりげぎょ)」という装飾が付いている。 風雨による腐食を防ぐためだそうだ。

「桜えび」の旗を立てた店が増えてくる。 お土産に冷凍の生桜えびと干し桜えびを購入。 自宅へ送ってもらう。

「浜のかきあげや」でかき揚げ丼
街道から左へ折れ、東海道線の下を潜って由比漁港に寄り道。 目的は由比漁協直営の「浜のかきあげや」で、かき揚げ丼を食べることである。
桜えび漁日本一の由比漁港は小さな漁港。 漁港の向こうに東名高速が走る。

「えぇ~ぇ! 休みかよ!」 よく調べないで来てしまったが、なんと営業は金曜と土日祝祭日のみ。

その場で薩埵峠への途中にある「くらさわや」の営業日と営業時間を調べる。 「よし やってる! 食べに行こう」と、次なる目標を設定。
極細の東海道
由比漁港から街道に戻り、何気なく江戸方向を振り返ってみると、富士山の頂上部が顔を出していた。

Googleマップを見ると、少し先に街道と県道396号の間に細い路地がある。 この車も通れないような極細の道が、旧東海道だというので入ってみる。
街道から民家の間、鉤の手になっている所に入り、すぐに左に曲がる細い道に入る。

これが旧東海道だという。 このような道を歩くことは街道歩きの楽しみの一つである。 車で観光地を巡るだけでは、このような所を訪れることはないだろう。 もっとも、こんなことが面白いと思うほうが変人かもしれないが・・・

距離にして200m弱で、右に曲がって県道へ出るのがルートだが、左の階段を下りて由比の駅前に出る。

元の街道に戻るとJRの由比駅である。 駅から降りた観光客を、桜えびが歓迎している。

由比宿は宿場時代の面影を感じるように整備されていた。
また宿場を抜けて由比駅に向けて続く街道沿いの商店街が、大変良い雰囲気を持っている。 特に漁港が近づくにつれ、漁師町の雰囲気が増してきたように思える。 土日などの休日には観光客で賑わうのだろう。
「浜のかきあげや」で食べられなかったので、薩埵峠への途中にある「くらさわや」を目指して足を進める。 さぁ今度こそ・・・

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